2024 戸隠参詣神殿舞踏顛末記 その3
しばらく「シャーマンの樹」と戯れたあと、隋神門に引き返し駐車場に着くと、F君がいた。彼とは2年ぶりの再会。成長したF君としばし談笑。F君の話になると、また数々の思い出がある。長くなるので端折るが、とにかく彼は奥社の行きも帰りもランニングをしてお参りしてきたという。で、まだ走りたそうだったので宿までの山道ルートを教えてあげたら、一目散に駆け出して行った。いやはや、若さとはなんと気持ちが良いものなのだろうか!
奥社参拝組が徐々に戻ってきた。皆、奥社は凄い湿気で足元も悪く行かないで正解だったと言う。無理に行ってたら「シャーマンの樹」にも会えなかった。こういうタイミングが戸隠では顕著に現れるので面白い。
さて、こういう感じで書き記していたらどこまでも長くなるので(まだ着いて2〜3時間しか経っていない)かいつまんで先を急ぐ。
奥社を後にして、奉納するお酒を買って、山口屋に挨拶に行く。そして、灯籠の掃除など明日の仕込みの準備を「ほほん」で行う。 山口さんは僕にとってのドラエモンのような人である。彼は四次元ポケットを身につけており、どんな要求にも即座に応えてくれるスーパーマンである。以前、山口さんに「どこの馬の骨かもわからない我々一座に何故これほどよくしてくれるのか?」と尋ねたことがある。彼は「戸隠を好いてくれているから」と答えた。それを聞いて僕は山口さんの戸隠に対する並々ならぬ熱情を知ったのである。彼の戸隠愛は驚嘆すべき心情である。
Nでちゃんが、昨年山口さんと話した時「髙橋さんはあんなに元気だからあと10年はやるだろうから、それまでは自分も頑張る」と言っていたと教えてくれた。僕の元気は見せかけだが、そんなふうに思ってくれていることが何とも嬉しいし、励みになる。山口さんとの出会いは僕の人生における大きな宝のひとつである。「シャーマンの樹」も10年は持ちこたえるだろう。が、戸隠を愛するものは全て受け入れる山口さんほどに神社関係者も心を見せてくれたらと、つい思ってしまうのだった。
明日の仕込みの準備もさっさと終了して入浴、夕飯。その後タバコ組はテラスで歓談。煌々と輝く月を見上げながらのこのひと時も戸隠ならではの時間となる。そこではどうでもいいような話だけれども、高尚な話をしているように変幻するのだ。ああ、ただの酔っ払い!
2日目、朝食後、火之御子社の神事に参加。コロナ前と比べると神職の奉納舞は演目を少なくして、その代わりに内容を充実させていこうとする意図が窺われた。例によって倭舞のお師匠さんは今年は「君が代」を踊った。毎年工夫した演目を披露される創作好きな方である。
先代の藤井さんから宮司を引き継いだ水野さんは、自分色を出そうとしているのか、細かなところをいろいろと簡素化しながら内部を充実しようとしている感がある。例祭の時間を短縮しながらも奉納舞は若手を起用して空気を変えていた。直会もカットした。(コロナがよいキッカケになったと思われる)
コロナ以前まで行われていた、境内にブルーシートを敷いての直会は、僕は風景としては涙が出るほど大好きなのだが、地元の神社関係者との宴の輪に混じると何故か妙なぎこちなさがあった。過剰に気を使っていたのかもしれない。
直会がない分時間ができる。僕たちは仕込みの荷物を境内に運び込み、余裕を持って昼食の山口屋に向かうことができた。山口屋は観光客でごった返していたが、僕たちはVIP待遇なので待つことなく席に着き戸隠蕎麦をいただく。年に一度の蕎麦三昧、美味かな美味かな!
昼食後も宿に戻ってゴロゴロと休憩する時間があって、こんなゆったり感は今回が初めてである。ひと休みした後は、火之御子社に戻って舞台の仕込みに入る。細かくは書かないが、とにかくそれぞれが自分の持ち場を淡々と完成させていく。滑らかな時の流れだったと思う。
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