ブレスワーク物語②
からだはうすの ブレスワークの特徴は 徹底した身体の浄化と 個人史にフォーカスした物語と 生命の神秘的事実の発見である。
ここでの呼吸は 通常イメージされる呼吸法とは 全く違う。 簡単に言えば、 喚起的な音楽にのって 意識のコントロールが 及ばなくなるくらいまで、 深く激しい呼吸を続けるのである。 それは 日常の感覚領域を超える体験を導く。
私たちは普段、 役割やルール、 人間関係への気遣いなどで、 本来この生命に備わる 自由なエネルギーの発露を 押さえ込んで生活している。 そうした 抑圧されたエネルギーを 解放することなしに 自分という生命の全体像は掴めない。
人は自らのエネルギーに対する 自己イメージと実際の言動が 外部に及ぼすエネルギーが 一致することはほぼない。 人生は 思うようにいかないものだとする思考は それに由来する。 この内部と 外部の乖離がストレスにつながる。 外部に発動するエネルギーは その人の能力と捉えられ、 それが査定され評価の対象となり 人は外部に向けた顔作りに勤しむ。
そのとき、 自身の内部に湧出するエネルギーの 消化機能は失われていく。 すると自己イメージそのものにも ズレが生じたり希薄になって 誤解した形で過大もしくは過少に 感覚されていく。 抑圧されたエネルギーとは 使いふるされた言葉だが、 そこには〈浮かばれない事実〉が眠っている。
日常を跳躍する身体感覚や 感情やイメージが 自らの内部に湧き上がるということは、 内部の事実を拾い上げることができた、 ということ。 感覚や感情の内部事実と 身体の内部事実は 互いに影響し合いながら 陽の目を見る地点 (リアリティとして認知される領域)に 登場する。
それは、 一般には芸術的感性の 発露ともみなされるだろう。 人間生命は、 いわば現在進行形(変容し続ける)の 芸術であるはず。 外側から鑑賞するのではなく、 生命のダイナミズムが 身体内部に交響するという 事実そのものを 自らの生命の実感として感得する。
呼吸による芸術は 創るものでも飾るものでもない。 生命であるということが 既に神秘であることを 呼吸によって知るのである。
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