二人1組になって呼吸を行う場合の意図を説明します。

呼吸をする人をブリーザー、そのケアをする人をシッターと言いますが、それぞれに交代して行います。この活性化の呼吸はホロトロピックブレスワーク（スタニラフ・グロフ創始）に準じたやり方です。ブリーザーは言うまでもなく喚起的な音楽に乗ってただただ自分の呼吸に集中します。

が、ここではシッターの役割について少し説明したいと思います。

シッターの人はブリーザーの傍にいてじっと見守る役割です。基本、あまり介入はしませんが、ブリーザーの必然的な要求には献身的に答えてあげます。

例えば、ブリーザーの身体が硬直して手が思うように動かないことがあります。その時にツバやタンを吐き出したい、でも手が思うように動かない場合はティッシュを渡してあげるとか、シッター自らが拭ってあげるとかします。寒がっている時は毛布を掛けてあげます。ある種の感情が出てきた時には手を握ってあげるとか、背中をさすってあげるというのもありです。

また、呼吸が上手くできない状態の時は多少のボディワークをします（実際は現場で指導します）。さらに、激しく動いた場合は他のペアの邪魔にならないように体を張って防ぐことも必要です。

しかし、ブリーザーは非日常的な変性意識の状態であり、言葉でのコミュニケーションは原則しないことになっているので、シッターの思い込みが見当違いの介入になってしまうこともあります。ですから、シッターには神経を集中させてブリーザーのエネルギーを感じ取っていこうとする姿勢が求められます。ブリーザーの内面の旅に同行しているという気持ちで見守っていくのがシッターの役割です。

シッターの体験は時にとてもスペシャルです。変性意識のエネルギー場はたとえ呼吸をしていなくても真剣にブリーザーに寄り添うことでさまざまな体験をもたらします。共時的な感情体験や集合的なエネルギーが作り出す非日常的空間のダイナミクスはシッター自身の内面にも揺さぶりをかけます。言葉を使わないコミュニケーションはシッターの感覚を研ぎ澄まします。

他者の変性したエネルギー状態を客観的に観察することで、人間の内面の多様な奥深さを体感することができます。

人によっては、ブリーザーの時の体験よりシッターの時の体験の方が充実していた、という感想もあります。

以上のような事柄を踏まえた上でシッターとして関わっていただきたいと思います。

高橋実

2024.05

ペアを組んで行う活性化の呼吸法について