まつりの呼吸 ④

矛盾と葛藤と摩擦

「この世界は矛盾だらけじゃないか」と多少の苛立ちを含めて社会を見る人がいます。矛盾というのは二元的世界観の象徴のようなところがあります。光と闇から始まって陰と陽、有と無、聖と俗、男と女、生と死、善と悪、引力と斥力、プラスとマイナスなど、二元性は数え上げれば切りがありませんが、自然界はただ変容する均衡として成り立っています。しかし、それをモデルとして人間は概念的な対立項に設定してしまいました。概念ゆえに神と悪魔、善と悪、肯定と否定、良し悪し、悲劇喜劇、好き嫌いは立場、状況に応じて簡単に逆転するので構図的には全く変わりません。つまり、人間の倫理性は物事を一つにまとめたいという自らの根本欲求とウマが合わないのです。この点は集合的にも個人的にも同じです。要は社会の中の関係性も個人の心の中も矛盾に付きまとわれることになります。

矛盾とは辻褄が合わないことですが、だいたいが二元対立的な関係になります。そこに発生するのが葛藤です。葛藤は摩擦を引き起こします。葛藤や摩擦は多大なエネルギーを必要とするので人々は嫌がります。不思議なことに人々はエネルギーを使うとエネルギーが消耗すると感じるようになってきました。もっと言うと、葛藤や摩擦によって傷つくのではないかと恐れています。なので、現代は最初から矛盾や葛藤や摩擦をネガティヴに捉えて、それらは避けて通るべきものだ、あってはならないものだという風潮に侵されてしまいました。

エネルギーは使った方が増大していきます。もちろん使い過ぎは論外ですが、勉強もスポーツも訓練しなければ伸びません。現代日本では若者が恋愛を避ける傾向にあると嘆く声が聞かれますが、それこそエネルギーを出し惜しみしている証拠と言えます。葛藤や摩擦と対峙した経験がエネルギーを強くし増大させます。本来、エネルギーは葛藤し摩擦することから湧き出してきます。古代の火起こしを思い浮かべればすぐに理解されます。男女の性交の快感も然りです。創造物は外的にも内的にも矛盾から葛藤そして摩擦、そうした擦り合わせから生まれてくるものです。

問題はそうした言葉に張り付いている様に感じられるイメージです。矛盾、葛藤、摩擦からは、間違い、努力、忍耐、対立など、なんか古臭いネガティブなイメージがあります。そういう使われ方をされてきたからです。漢字も難しい?(笑)。エネルギーとは変化するための起爆剤です。それが葛藤と摩擦から生まれるとするなら、そろそろポジティブな捉え方にシフトする時期に来ていると思うのです。

三鷹 整体治療院「からだはうす」

1984年心身のメカニズムを探求する場として「からだはうす」を開設。 整体治療による施術を中心に呼吸法、ヨガ、ストレッチを通して、心身の不調改善の作業と共に取り組んでいます。 精神的不調については随時カウンセリングを行います。

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